ジュエリー溶接の概要

ネックレスやリング、ブローチなどの金属部分が折れたり切れてしまった場合には「溶接」という方法を用いて修理する事が可能です。本記事ではこれらの溶接方法としてよく用いられる、「微細レーザー溶接」と「ロウ付け」についてその解説と比較を紹介します。

微細レーザー溶接概要

微細レーザー溶接とは指向性や集中性の良い波長の光をレンズで集め、きわめて高いエネルギー密度のレーザー光を利用して行う微細な溶接のことを指します。

ロウ付けの概要

レーザー溶接と対照的にネックレスなどの溶接によく用いられる方法に「ロウ付け」があります。ここでいう「ロウ」とはロウソクのことではなく、金属の接合時に用いる合金のことを指します。ロウ付けではこのロウを溶融させることで、接着剤として金属の接合を可能とします。そのためここで使用するロウ(合金)は素材となる金属よりも融点の低いものを使用する必要があります。

宝石溶接におけるレーザー溶接の利点

  • 熱に弱い宝石を使用したジュエリーにも使用可能であること。宝石には熱に弱い特徴があるため、これを使用したジュエリーの溶接は宝石部に熱を与えないように行う必要があります。微細レーザー溶接は短時間に局所的に熱を加えるため熱影響が少ない溶接が可能出る事が特徴です。そのため、熱に弱い素材(宝石)を含むジュエリーの溶接も可能です。
  • 溶接材料として素材と同じ材料が使用可能なため、溶接部分が目立ちにくいこと
  • 溶接後の再研磨の必要がないこと。例えばシルバーの溶接にロウ付けを使用した場合、高温によりシルバーが白くなるため、再研磨の必要性が出てきます。
  • 極めて細かい箇所の溶接が可能であること微細溶接の名前の通り、ルーペを用いなければ見えないような細かい箇所の溶接も可能です。

デメリット

欠点がないかのように思われるレーザー溶接ですが、ロウ付けに比べて劣る点も存在します。

  • 見える範囲しか溶接する事ができないこと。ロウ付けの場合、例えばリング等の切断面にロウを流すことで、中心部などの見えない部分もしっかり接合することができます。一方で、レーザー溶接ではレーザーの照射ポイントしか溶接できず、中心部などの溶接は難しいため、強度面で劣ってしまう場合があります。
  • 技術者が少なく、技術の習得にも時間がかかること。レーザー溶接は高度な技術を要するため、技術の習得にはかなりの時間を要します。
  • 溶接機械が高価であること。
  • 加工コストが高いこと。

参考文献

  1. レーザー溶接って何?【クロムハーツの修理&カスタム情報】
  2. ロウ付けって何?【クロムハーツの修理&カスタム情報】

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