はじめに
レーザ溶接は、現代の製造業で広く使用されている技術の一つです。
しかし、その中でも特に注目すべきは「微細レーザ溶接」です。これは、極めて小さな部品に対する精密な溶接を可能にする進歩した技術で、その精度と適用性は医療、自動車、航空宇宙など、様々な産業で評価されています1。
レーザ溶接と微細レーザ溶接の違い
レーザ溶接と微細レーザ溶接は、両者ともレーザ光を用いて金属などの素材を溶かし、固めて接合するという基本的な原理は同じです。しかし、その適用範囲と精度には大きな違いがあります。
一般的なレーザ溶接は、サイズの大きな部品や構造体の接合に使用されます。そのため、比較的大きなエネルギーと熱を利用します。
これに対して、微細レーザ溶接は、小さな部品や微細な構造の接合に使用されます。寸法としては、厳密な定義はありませんが、おおよそ1mm以下程度の溶接範囲を指しています。そのため、使用するレーザも低出力で良い場合が多く、仕様エネルギーの点でもメリットがあります。また、連続発振のレーザだけではなく、パルス発振のレーザも用いられます。
微細レーザ溶接の原理
微細レーザ溶接の技術は、レーザ光の特性を利用しています。レーザ光は一定の方向に集中する性質を持っており、そのエネルギーを狭い範囲に集中させることで、特定の部分だけを高速に溶かして接合します。その結果、非常に小さな部品でも、その精度を損なうことなく溶接することが可能になります。
微細レーザ溶接には、溶接の種類によってさまざまな方法があります。例えば、伝導モード溶接は、低エネルギーレベルで幅が広くて浅い溶接を行います。一方、キーホールモード溶接はその幅に比べて深い溶接を行います。さらに、スキャナ溶接やシーム溶接といった他の方法もあります。部品の種類や接合強度等で、必要な溶接方式が適用されます。
微細レーザ溶接は、金属だけでなく、ガラスなどの他の素材にも適用できます。超短パルスレーザを使用したガラス溶接は、特に注目すべき技術で、非常に高い温度でガラスを溶かしつつ、熱影響領域(HAZ)を極めて小さい範囲に制限することが可能です。その結果、割れを発生させず、非常に高い精度でガラス部品を接合することができます。
微細レーザ溶接の利点
微細レーザ溶接は、その精度と効率性から多くの利点があります。特に、溶接部分の熱影響を小さく制限できるため、溶接後の変形や損傷を防ぐことができます。さらに、溶接の位置精度が高いため、微細な部品でもその形状や機能を維持することが可能です。さらに、レーザの種類や方式を選択することで、さまざまな溶接方法が利用可能であるため、部品の種類や溶接部位によって最適な溶接方法を選択することができます。
これらの利点から、微細レーザ溶接は、医療機器、自動車部品、航空宇宙部品など、多くの産業で利用されています。その精度と適応性は、これらの産業で高く評価され、広く利用されています。
まとめ
レーザ溶接は、その精度と効率性から広く利用されていますが、その中でも微細レーザ溶接は特に注目すべき技術です。小さな部品や複雑な形状の接合に対するその能力は、多くの産業で評価され、さまざまな応用が可能です。微細レーザ溶接の理解は、現代の製造技術の理解を深め、より良い製品作りに役立つことでしょう。
参考文献:
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