概要
現在、様々なレーザーが開発、利用されていますが、特に近年の利用が拡大しているのは、ファイバーレーザーではないでしょうか。
ファイバーレーザーとは、希土類を添加した光ファイバーを媒質に用いた固体レーザーです。高出力なCW(連続発振)と低出力なパルス発振のタイプがあります。
光ファイバーは、ガラスや樹脂など透明な誘電体でできており、全反射により光が伝搬していく過程で増幅されます。安定的に光が伝搬されるため、高効率が得られる利点があります。
板金溶接や切断、マーキングなどに利用されます。近年は、波長変換や短パルス化により微細加工への応用も進んでいます。
大出力レーザーでは、100kW以上のものも実用化されています。
原理
ファイバーレーザーでは、通常のクラッド内部に希土類(Yb, Nd, Er, Er:Yb 等)をドープしたコアで形成されたした光ファイバーを使用します。励起光としてLDが使われることが多いです。
励起光は、全反射しながらファイバー内を進んでいきます。その過程で中央のコアで反転分布が起きレーザーが発生します。励起光はコアで減衰しますが、レーザー光はコアの中を全反射しながら励起、増幅を繰り返すことになります。発振される波長は、ドープされる希土類によって異なります。このように、光ファイバそのものが共振器として動作します。
比較的低出力のレーザーには、シングルモードファイバーを、高出力のレーザーにはマルチモードファイバーを利用します。
特徴
- 波長選択性
コアにドープされる希土類元素による出力波長の選択(例:Yb:1030nm~1100nm Er:1500nm) - 高安定性
光ファイバー中の反射・増幅でレーザー発振するので、低いメンテナンスコストで安定した出力 - 高効率
変換効率が高い(~30%)
応用例
加工の観点から、以下のような幅広いアプリケーションで使用されています。
- 溶接・切断
- マーキング
- 微細加工
- 医療・ライフサイエンス(レーザーメス等)
歴史
最初のファイバーレーザーは、Snitzerにより開発されたと言われています。フラッシュランプに巻かれたファイバーによりレーザー発振を実現しました。
1980 年代後半には、低損失なガラスファイバーが開発され、光信号をそのまま増幅できるようになり、レーザー媒質としての利用が進みました。また、励起光源として使用するLD の普及と高性能化と共に光ファイバーのレーザー増幅器としての研究開発が急速に進みました。
このようにレーザーの中でも比較的新しい部類に入りますが、近年は、その利用範囲が急拡大しています。
参照
・ファイバーレーザーの特徴について – UW JAPAN株式会社
・ファイバーレーザの歴史 | オプティペディア – Produced by 光響
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