背景
近年、電子部品の小型化が進み、それに伴って金属薄板接合の需要が高まっています。しかし、薄板は熱による変形が生じやすく、ギャップのコントロールも難しいという問題点があります。
一般に薄板の溶接にはパルスレーザが用いられますが、加熱と冷却の繰り返しや不適切なパラメータの設定により、試料が歪む可能性が高くなってしまいます。
これらの問題を解決するため、フラウンフォーファー・レーザ技術研究所はSHADOW溶接技術を開発しました。これは、高ピークパワーのパルスレーザーを高速で走査する技術で、試料の歪みを抑え、一般的なレーザー溶接の課題となる高反射率の材料溶接にも適応可能という特長があります。
概要
「SHADOW溶接技術」は、”Stepless High Accurate and Discreet One pulse Welding” のイニシャルをとったもので、連続溶接の長所とパルス溶接の長所を併せ持ち、微小部品の高精度溶接に適した技術です。ドイツのフラウンフォーファ研究所とレーザーメーカであるLASAG(現:Coherentグループ)の共同開発により生まれました。1パルスを高速で照射するため、パルスYAGレーザによる連続溶接と考えることもできます。
特徴
- パルス溶接と比較して、より滑らかな溶接ビードが形成可能なため、微小部品の溶接に非常に適しています。
- 1パルスのみの溶接のため、微小部品への熱負荷を最小化することができます。
- 高速度溶接なので、熱による歪は最小限にすることができます。
- 連続溶接なので良好な溶接表面を得ることができます。
最後に
研究所とメーカが共同開発した技術で、理論的のみならず、実践的にも ” 使える ” 技術と言えそうです。微細化が進む分野では特に重要な技術となりそうです。
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